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薬物送達システムグループ協働企業:日油株式会社

レドックス関連疾患に対する新規治療・診断薬を創成するための  ドラッグデリバリーシステムの開発
安河内 徹 <日油株式会社 DDS研究所長>

 日油株式会社は、「バイオから宇宙まで」というキャッチフレーズに示されるように、既存事業である油脂、化成、化薬、食品に、新規事業であるライフサイエンス、DDS、フィルム、電材を加えた非常に幅広い分野に製品を展開する素材・原料の総合メーカーです。DDS事業部では、薬物の治療効果を最大限に発揮させる薬物送達システム(DDS:Drug Delivery System)に用いるため、これまでに培ってきた当社の固有技術である合成・精製。品質制御技術によって高品質のポリエチレングリコール(PEG)誘導体、リン脂質、高純度不飽和脂肪酸等を開発し、世界の製薬企業に提供しています。

 

 

 

 

 

 本レドックスなびにおける薬物送達システムグループの研究テーマはがん等のレドックス異常の関与が指摘されている疾患の遺伝子治療を初めとした治療法の探索であり、グループでは高度なDDS技術を駆使した治療システムの開発に注力しています。
 特にがん治療については東京大学片岡一則教授らの開発した最新のDDS技術である遺伝子治療用高分子ミセル型キャリアの特許を取得し、臨床への展開を前提とした開発を進めています。当社は高分子ミセルの素材であるPEG誘導体やブロックポリマーの製造およびGPM生産に向けた製法確立を主として担当し、中野教授を中心とする九州大学の先生方が実際の医療で応用することを前提とした各種スクリーニング評価、開発を行っています。
 タンパク質の修飾用を主とするDDS用のPEG誘導体については、すでに川崎事業所のDDS工場にて大スケールのGPM対応の製造を行っており製剤の上市品にも使用されています。しかしながら、より複雑な構造を持ち、合成上の検討も必要な本テーマの高分子ミセルキャリア用のブロックポリマーについては、製法のみならず分析法についてもGPMに対応できるよう詳細な検討が必要です。具体的には、東京大学で開発された少量スケールでの合成フローを見直し、高品質を維持したまま、工業的な大スケールでも厳密に管理可能な工程を達成するために細やかなアレンジを行っています。また、開発のスピードアップに繋げられるよう頻繁にグループ内のディスカッションを行い、九州大学での各種スクリーニング評価の結果を、当社のブロックポリマーの製造品目の選定や品質改善にタイムリーに反映させています。
 今後は九州大学でのスクリーニング、動物実験、臨床など開発のステージに合わせて、上記のような課題をクリアしながら必要な量、品質のブロックポリマーを供給していくと共に、その他のテーマについてもPEG誘導体を中心に素材供給を行っていく予定です。
 

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