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メタボリック・プロファイリンググループ協働企業:株式会社島津製作所

メタボリック・プロファイリンググループにおける
島津製作所の役割と期待
村田 好行<株式会社島津製作所 分析計測事業部 産学官・プロジェクト推進室 グループ長>

1.会社概要
 株式会社島津製作所の創業は1875年。創業の精神である社是「科学技術で社会に貢献する」を基本に、「人と地球の健康への願いを実現する」という経営理念の下、分析計測機器分野、医用機器分野、航空産業機器分野などの事業を展開しています。さらに、次世代医療分野(分子イメージング等)、産業計測分野、環境・エネルギー分野など新規事業分野の開拓も行っています。

2.レドックスナビ研究拠点における活動
 レドックスナビ研究拠点・メタボリック・プロファイリンググループ(MPグループ)では、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計(MALDI-TOF MS;図-(a))と高速液体クロマトグラフ質量分析計(LCMS;図-(b))を基軸に、医療現場で用いるための疾病細胞診断質量分析システムを基盤とした病態メタボロミクス新領域の確立を目指しておられます。この中で、当社は二つの役割を担っています。
 第一は、ご使用いただいている装置の分析技術的フォローです。ここでは、目的化合物の分析手法や得られたデータの解析法など、当社の分析技術スタッフが長年蓄積して参りましたノウハウをベースに、先生方の研究目的に適した分析ソリューションを提案させていただいています。
 第二は、MALDI-TOF MS用代謝物データベースの開発です。疾病細胞診断質量分析システムを構築するためには、MALDI-TOF MSを用いたMSイメージング技術が強力なツールとなります。このためには、MALDI-TOF MS測定により取得されたデータから網羅的に迅速代謝物同定を行うためのデータベース開発が必須となります。そこで、現在当社ではデータベース開発のためのチームを編成し、MPグループより提供されたデータを用いて先生方のご要望に適う性能をもったデータベースの開発に取り組んでいます。ここでは、田辺三菱製薬株式会社先端医療研究所の方々にも参画いただき、MPグループ、田辺三菱製薬株式会社、当社の3者で定期的に技術ミーティングを開催し、それぞれの専門的視点や立場による様々な意見の交換を行いながら、より良いデータベースの構築を目指して日々努力しています。この取り組みが、最終的には実際の医療現場で利用可能な信頼性の高い病態ー代謝物相関データベースの構築へつながればと期待しています。

3.今後の展開
 現在、質量分析装置を医療の現場で活用するための研究は多くの機関で行われており、これらのほとんどはゲノミクス、プロテオミクス、グライコミクス、メタボロミクスなどのオミックス研究が基盤となっています。このため、論文や学会等で種々の研究成果について目にする機会が多くなってきたものの、実際の現場における質量分析装置の認知度はまだまだ高いとは言えません。
 しかしながら、オミックス研究を基盤とした質量分析装置の臨床応用は、統計学との併用により発症の前段階から診断・予測を行うバイオマーカの開発や治療法の開発を行う上で非常に有用なツールになり得ると我々は考えています。特に質量分析装置の高感度分析能力は新たな早期診断手法の開発に貢献できると期待しています。しかし質量分析装置の臨床応用実現のためには、ヒトのサンプルを用いた研究、およびデータベースの整備や分析機器の標準化が必要となります。MPグループでは、メタボロミクス研究を基盤とした質量分析装置の臨床応用化に向けて、医学部、製薬会社、分析機器メーカである当社との連携のもと研究を進めておられます。このことは、MPグループが本目的を実現するのに最も近い位置にある研究機関のひとつであることを示唆しています。ぜひ本プロジェクトを成功させ、医療の現場、臨床の現場での使用に耐えうるような早期診断手法の開発を実現されることを期待しています。また、当社としてはプロジェクトの成果をもとに新たな製品あるいはシステムを開発し、お客様の満足が得られる分析ソリューションを提供していければと考えています。

協働機関リンク